苦あれば楽あり
私の人生、いや誰の人生でもこれは言えることだろうか?
若かった頃、新婚の身で仕事を持ち帰り、妻から怒られたこともあれば、仕事がうまくいかずに夜遅くまで会社で仕事をしたこともある。
管理職になってからはほとんど家に帰るのは夜10時、11時であり、時には交代勤務者が来る時間まで仕事をしていたものです。
そんなことはその当時苦とも思っていなかったし、当然のことだとしか考えてなかったように思う。私の仕事ぶりを周囲の人間がどう思っていたのかはわからないが、一部は尊敬されていたことは間違いなかった。そのことがまた私に仕事に没頭させていました。
まさに順風満帆であり、私も自分の輝かしい将来を疑うこともなかった。しかし、好事魔多しという。部下の失敗が私にのしかかってきた。部下をかばったことで、いつの間にかその失敗が私の責任と変わっていた。
私は完全に落ち込み、自信を失っていました。会社を辞めることまで考えましたが、子供たちが大学受験をお間近に控えたことなどで家族の猛反対を受けそれもできませんでした。
そして、肩書きはかろうじて残してもらえましたが、閑職にまわされました。ほんの一年前は出世頭と呼ばれていたことが嘘のような毎日でした。
そんな私が立ち直ったのは中国への転勤でした。実際には左遷といえる転勤でしたが、まったく言葉も不自由で、環境の違う異国の地で自分自身を取り戻せたのは皮肉なものです。
といっても、日本本社の信頼が回復できたわけではありませでした。私がどんなに努力しても日本での評価は変わりませんでした。
当時の私の通訳兼秘書の女性があるとき私に言った言葉を一生忘れられません。
「あなたは、日系や中方の取引先の人たちにはこれほど信頼されているのに、どうして日本の本社の人は信用しないのでしょうね。」
この言葉は端的に私の置かれていた状況をついた言葉で、胸をつかれました。結局その状況は帰国後も変わらず、会社の勧奨退職に応じて退職しました。
これまで苦しいことばかりだったとはいいません。しかし、いつになったら「楽」だと思えるようになるのでしょうね。
楽ではありませんが、孫の成長は私の大きな「楽しみ」です。


